不倫慰謝料の金額として200万円は適切であるか

文責:所長 弁護士 古田裕佳

最終更新日:2025年05月19日

1 不倫慰謝料の金額として200万円は比較的高い方です

 不倫慰謝料の金額には相場が存在し、一般的には数十万円~300万円程度とされています。

 不倫慰謝料の請求に関する事件は、訴訟には至らず話し合いで解決する場合も多いため、すべての事例が公開されているわけではないのですが、不倫慰謝料の金額は100~200万円の範囲内になることが多いとされています。

 不倫慰謝料の相場に大きな幅が存在する理由は、不倫慰謝料の金額に影響を与える要因が複数あることです。

 今回は、不倫慰謝料の金額を増額させる要因について具体的に説明します。

2 不貞行為の時点における婚姻期間が長いこと

 不倫慰謝料は、法律的には不法行為に基づく損害賠償金です。

 不倫をした側による不貞行為により、不倫をされた配偶者の平穏な夫婦生活を送る権利が侵害されたことに対して発生します。

 平穏な夫婦生活は、一般的には長い年月の積み重ねによって形成されていくものと考えられています。

 そのため、婚姻期間が長いほど、不貞行為による権利侵害の度合いも大きくなると評価することができ、不倫慰謝料が高くなる傾向にあります。

3 不倫をしていた期間が長いこと

 不倫をしていた期間が長い場合も、不倫慰謝料も高くなる傾向にあります。

 一般的には、不倫期間が長いと、権利侵害行為である不貞行為の回数も多くなり、平穏な夫婦生活を送る権利の侵害も大きくなると考えられることから、不倫慰謝料が高くなります。

 もちろん、仮に不倫期間が短くても、多数の不貞行為に及んでいたことが判明した場合には、不倫慰謝料は高くなり得ます。

4 離婚や別居に至っていること

 不倫慰謝料は、平穏な夫婦生活を送る権利を侵害した程度によって変わります。

 不倫をした配偶者による不貞行為が原因となって夫婦関係が悪化し、離婚または別居にまで至ってしまった場合には、平穏な夫婦生活を送る権利は完全に損なわれたと評価することができます。

 離婚や別居にまで至っていない場合と比べると、権利侵害の程度が大きいと言えるため、不倫慰謝料も高くなります。

5 扶養・監護が必要な小さい子どもがいること

 夫婦間に幼い子どもがいるにもかかわらず不貞行為に及んでいたということは、家族の生活を大きく侵害したということができるため、不倫慰謝料も高くなる可能性があります。

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